で、誰がSquarespaceを使っているの?
日本でSquarespaceの話をすると、だいたいこう聞かれる。
「で、誰が使ってるの?」
関係先の音楽アーティストも含めて、少し調べてみた。以下はその一部。今回は欧米の著名なアーティストを厳選した。
John Coltrane — johncoltrane.com
Björk — bjork.com
Mötley Crüe — motley.com
Alicia Keys — aliciakeys.com
David Bowie — davidbowie.com
The Roots — theroots.com
Norah Jones — norahjones.com
New Order — neworder.com
Usher — usherworld.com
Christian McBride — christianmcbride.com
Weezer — weezer.com
Janet Jackson — janetjackson.com
Kamasi Washington — kamasiwashington.com
Bad Religion — badreligion.com
Denzel Curry — denzelcurry.com
Nate Smith — natesmithdrums.com
José James — josejamesmusic.com
Mark Guiliana — markguiliana.com
Chief Adjuah — chiefadjuah.com
CARRTOONS — carrtoonsmusic.com
規模も、ジャンルも、関係ない。
日本では、予算があれば制作会社。なければ自分で作るか、友達に頼む。 だいたい、そういう分かれ方をする。
上に挙げたサイトを見ていると、その分かれ方があまり重要ではないように見える。
ヘッドライナー級の超大物アーティストだから特別なシステムを使っているわけでもない。
インディーズのどマイナーだから安価なサービスで済ませるわけでもない。
共通しているのは、必要な情報を、必要なときに、必要な場所に置いている。それだけだ。
面倒な部分を、どこまで自分で抱えるか。
誤解のないように書いておく。
Squarespaceだから彼らが使っている、という話ではない。 WordPressでも、Shopifyでもいい。
大事なのは、面倒な部分をどこまで自分で抱えるかということだと思う。
ドメインを取る。DNSを設定する。メールを設定する。 サーバーを用意する。SSLを管理する。 アクセスが集中したときに落ちないようにする。攻撃を弾く。監視する。アップデートする。
しかも今は、ほぼ毎日のように自動化された攻撃が来る。 特定の誰かに狙われているというより、脆弱性を探すボットが、インターネット上のサイトを順番に叩いている。
コストも制作費より「管理維持コスト」と「脱属人化」が関係していると考えられる。
数年に一度アルバムを出す。年に数回ツアーをする。 メンバーが加入したり、脱退したりする。過去の作品を並べておく。
音楽業界において経験上、「何もしない時期」と「急な対応が求められる時期」が不定期にやってくる。
そのためのサイトに、そこまでの環境を常時用意する必要があるだろうか。
ぶっちゃけ、全部自前でやるのは割に合わないと思う。
そこも含めて、月額料金に入っている。 ある意味、日本人が好きな「保険」と同じだ。しかも破格で。
実際、多くの人はドメインの設定でつまずく。メールもそうだ。 チケットが発売された瞬間にアクセスが集中する。その日に落ちなければいい。
それだけで十分な場合もある。
その点でShopifyはよくできているし、Squarespaceも同じ方向にある。 CDNもセキュリティもホスティングも、最初からサービス側に含まれている。
SEOも、いまどきは「できる・できない」という話ではない。AI検索への対応も同じだ。
Squarespace自身も、ミュージシャンやバンド向けのサイト制作を明確に打ち出している。 音源、ツアー日程、SNS、マーチャンダイズをひとつにまとめられる。
特殊な使い方ではない。最初から、そういう用途を想定して作られている。
もともとはShopifyだった。
私自身、2010年頃からShopifyを使っていた。 一応、現在も場末のShopify Partnerである。
そこからSquarespaceに行ったのは、特別な理由があったわけではない。
「カートはいらない」「そもそも、この人たちは直接販売しない」
そういう業種からの依頼が続いた。 それならECの仕組みを中心に考える必要はない。サイトはサイトとして作ればいい。
そうして行き着いたのがSquarespaceだった。
「売れない」のは、仕組みの問題ではない。
制作・製造する人がいる。販売する人がいる。小売する人がいる。
それぞれの領域があって、それぞれの役割がある。
作った側が直接売れば早い。でも、そうしない理由もある。 だから、サイトと販売を分ける。
特別なことではない。
自分で選んだというより、そういうニーズが先にあって、半ば連れていかれた。 そのほうが近い。
向きが違うだけ。
Shopifyは、モノを売るための設計。 WordPressは、自由度の代わりに自分で管理する範囲が広い。 Squarespaceは、サイトを作って運営するところまでをまとめて提供する。
優劣ではない。向きが違う。
上に挙げたサイトを見ると、それがよく分かる。 物販をサイトの外に出しているものが多い。
別のサブドメインに置く。Shopifyを別に使う。レーベルのストアに飛ばす。 地域ごとにストアを分ける。
(これには大人の事情も大きく関係している。)
サイトはSquarespace、物販はShopify。
うちが言っていることは、彼らがすでにやっていることでもある。
見た目で選んでもいい。
それでいいと思う。Squarespaceを選ぶ理由なんて、それだけでも十分だ。
そのうえで、もし少しだけ気になったら触ってみてほしい。 基本的には誰でも使える設計にはなっている。特に難しくもない。
ClarksonというAIアシスタントもある。 日本語には対応している。
それでも、日本では「ニッチ」になる。
ここまで書いておいて、Squarespaceを無理に推すつもりはない。
WordPressでいい人もいる。Shopifyが必要な人もいる。Wixでもいい。 自分でサーバーを立てたい人は、そうすればいい。
ただ、この選択肢が日本ではあまりにも知られていない。
「Squarespaceって何?」「ノーコードですよね?」「フリーランスや副業で格安サイト作る人が使うやつ?」
だいたい、そうなる。
世界では4番目に使われているCMSで、800万を超えるサイトが動いている。 少なくとも、誰も使っていないニッチなサービスではない。
彼らが使っているから偉いわけではない。 Squarespaceだから成功したわけでもない。
ただ、これだけの人たちが使っているものを、日本ではほとんど誰も知らない。
私は、その知られていないプラットフォームを採用している。
一度、上に並べたサイトを見てみてほしい。 少なくとも私には、ノーコードのウェブビルダーには見えない。
運用・コスト・難易度の側面から考えると、いい具合にバランスがとれたシンプルなプラットフォームである。
どれも一長一短はあるし、制約はある。経験上、無駄がなく管理する上でシックリ来たのがSquarespace。